第9回

運命の竜の峰

 

私としたことが、大失敗だった。

山を歩いてはや二時間、そろそろ太陽は赤みを帯びてきた。

日の入りが近い証拠だ。

「アメリア、針はどうなの?」

「え〜っと、あ、さっきから少しだけ位置が変わってますね〜。」

「ねぇ、もしかして迷ってない?」

「そんな〜!冒険って言ってください」

こんな会話がばかばかしく続いていた。

「ねぇ、魔法使わない?」

あたしはアメリアに提案する。

が、しかしアメリアは依然として元気。流石は正義を貫くだけある。

「一晩くらいの野宿なら大丈夫ですよ!!」

「でも、流石に山はちょっと・・・・・」

あたしは太陽の傾きと反比例して徐々に不安が募ってきた。

そのとき、アメリアの表情がこわばった。

「アメリア、どうしたの?」

あたしはアメリアに話し掛ける。だが、聞いている気配なしのようだ。

その目線の先に一体なにがあるんだろう?

興味本位で見てみた。が、先にあるのは崖で、変な生き物なんかいない。

「どうしたのよ、アメリア?」

わたしが問い掛けると、アメリアは私のほうを見ずに答えた。

「ゼルガディス・・・・さん・・・?」

私ははっと気づく。ゼルガディスの独特の白いフードを着た人物が、向こうの山を歩いているではないか。

「あれって・・・・ゼルガディスさんですよね!!!!」

おそらくそうだろう。あんな独特のフードを着る人はそうそういない。

でも、この広い世界でよく会えたな〜。

もしかしたらこれが、竜の峰の黄金竜達がの定めた運命なのかも知れない。

そんなことを私は考えていた………


 

運命の竜の峰 完

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